taro-h’s diary

たろログ

ブログです。近況報告とか振り返りとかとか

「FACT FULNESS」を読みました。

自分なりのこの本のエッセンス

  • 我々には、長い歴史から培われた本能がある。この本では、10の本能を取り上げている。
    この本能を刺激されると我々は、冷静に物事を判断できなくなったり、関心を示しやすかったりする。
    またその特徴から、メディアその他様々な主体はその本能を刺激する偏った情報を (悪意なく) 我々に与えるようになる。
    自らの本能と、そして提供される情報の偏りを自覚し、偏見やバイアスを修正して正しい判断をしよう。

  • 謙虚でいよう。

印象に残った部分、気づきがあった部分*1

冒頭のクイズ

かたや人間は、よりドラマチックな方を選ぶ傾向がみられた (p.17)

  • なぜ間違ってしまうのか?
    → 知識のアップデートの問題ではない。

    話を聞いている最中はよくても、聞き終わった途端に元の悲観的な考えに戻ってしまう。(p.19)

    → 「ドラマチックな世界の見方」をしてしまうから

    世界では戦争。暴力・自然災害・人災・腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。 金持ちはより金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ...(略)

    • なぜこのような世界の見方をしてしまうのか?
      → 狩猟採取の時代に、進化により身についた本能のため

10の本能

  • 分断本能
  • ネガティブ本能
  • 直線本能
  • 恐怖本能
  • 過大視本能
  • パターン化本能
  • 宿命本能
  • 純化本能
  • 犯人探し本能
  • 焦り本能

対処法

ファクトフルネス

ネガティブ本能

人は誰しも、物事のポジティブな面より、ネガティブな面に注目しやすい

「悪い」と「よくなっている」は両立する (p.89)

暮らしが良くなるにつれ、悪事や災いに対する監視の目も厳しくなった。昔に比べたら大きな進歩だ。しかし監視の目が厳しくなったことで、悪いニュースがより目につくようになり、皮肉なことに、「世界は全然進歩していない」と思う人が増えてしまった。 (p.86)

→「世界は全然進歩していない」と感じるのは、世の中が良くなったことで、悪事や災いに対する監視の目がより届くようになったということなのかも?

悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない (p.95)

恐怖本能

頭が恐怖でいっぱいになると、事実をみる余裕がなくなってしまう (p.132)

関心フィルターと、そこに空いている穴

  • 恐怖本能含む、この本に出てくる本能に対応する10の穴がある。
    ここを刺激すると、関心フィルターを通り抜けやすい。
  • メディアは構造上、それを刺激するようになる。我々の耳には、悲観的な情報が届きやすい
    • 商業的に、それをしないメディアは淘汰されるわけで。 この現象は我々人間の構造・性質からして当然のことであり、問題の原因としてメディアを責めても無意味で仕方がない。
      変わるべきは、我々の方。
  • 逆にメディア側の人間として情報を提供する場合は方法として、ここを刺激するような情報を提供することで人々の関心を得ることができる。
    • 営業とかその他様々なシチュエーションでも同様に使えそうな手法

過大視本能

私はいつも、ひとつしかない数字をみると、「この数字の意味を勘違いするかもしれない」と疑ってしまう (p.181)

この考え方はインストールしたいと思った。

純化本能

パッとひらめいたシンプルな解が、ほかのたくさんのことにもピタリと当てはまると思い込んでしまうのは、よくあることだ。
すると、世界がシンプルに見えてくる。すべての問題はひとつの原因から生まれているに違いない。だから、何がなんでもその元凶を取り除かなければならないと思ってしまう。(p.241)

    • 市場原理
    • 平等

まず当たり前だが、その道のプロは自分の専門分野以外のことについてはプロではない。...(中略)...なかなかそうは自覚できなものだ。誰でも自分を物知りだと思いたいし、人から頼りにされたい。何かに飛び抜けて優れていれば、「だいたいのことは普通の人よりできるだろう」と考えてしまう。その気持ちはわかる。だけど... (p.242)

ひとつのことについて精通したからと言って、別の分野のことにわかったように首を突っ込むのは謹んだほうがよさそう。
→ 首を突っ込むのはいいと思うけど、必ず現状について調べなおしてから発言・意見すべき (大概全然わかってないので)
SNSでも気をつけよう

犯人探し本能

どんなことであっても、ひとりの人やひとつのグループだけを責めないようにしよう。なぜなら、犯人を見つけたとたん、考えるのをやめてしまうからだ。そして、ほとんどの場合、物事ははるかに複雑だ。だから、犯人よりもシステムに注目しよう。世界を本当に変えたければ、現実の仕組みを理解することが必要だ。 (p.282)

焦り本能

今すぐ決めろとせかされると、批判的に考える力が失われ、拙速に判断し行動してしまう。 (p.290)
焦りはストレスのもとになったり、逆に無関心につながったりする。「なんでもいいからとにかく変えなくては。分析は後回し。行動あるのみ」と感じたり、逆に「何をやってもダメ。自分にできることはない。あきらめよう」という気持ちになる。(p.301)

無関心 (諦め) のような気持ちが、焦りから生まれるというのは意外に思えたんだけど、よくよく考えるとそうだなと思えてきた。

まとめ

謙虚になると、心が楽になる。何もかも知っていなくちゃならないというプレッシャーがなくなるし、いつも自分の意見を弁護しなければと感じなくていい。(p.316)
もうひとつは、もっと大切なことだ。事実に基づいて世界を見ると、心が穏やかになる。ドラマチックに世界を見るよりも、ストレスが少ないし、気分も少しは軽くなる 。ドラマチックな味方はあまりにも後ろ向きで心が冷えてしまう。(p.324)

謙虚であろう」というのが、この本のひとつのテーマであるように感じた。

この本を読んだ感想

  • 正しい情報を教えてくれるのがメインではなく、自分の今のものの見方についてセルフチェックをさせてくれる本
    • これは自分はこうはならないな、という本能もあれば、これは自覚なかったけどやってたな、よくよく考えればおかしいな。というものもあって、この本に照らして自分のものの見方を再確認することができた。
  • また、そのモノの見方の修正によって、ちょっと明るい気分で日常を過ごせるようになる本。
  • この本で紹介されてる10の本能については、これらを悪者扱いして排除しようとするのが正解ではなく、うまい付き合い方を見つけるのが正解だろうと思った。 気づいて、理解して、腹落ちさせて。そしてぼんやりとその存在を意識して、なんらかの判断の際にはそれをもとにセルフチェックをかける。

  • ついついメディアを悪者にしたくなるが、商業的な観点から考えて、メディアは僕らの性質に最適化しただけであり、メディアを責めても意味がない。(仮に各種本能を刺激しないようなメディアが存在したとして、商業的には成り立たず廃業になる可能性が高いだろうということ)
    構造的に、メディアは刺激的な(ネガティブ・不安を煽る)情報を報じがちということを認識した上で、その上で彼らの提供する情報をうまく利用する。
    メディアに頼らず情報を得るということは可能ではあるけど、全てにおいてそれを始めるとキリがないので、うまく利用するのが大事。
    -> とはいえ、これは間違えられないという情報については、一次情報を当たったりと目的に応じて情報を得る手段を変えていくのがよさそう。

  • メディアと同じように慈善団体も、同じように感心フィルターの穴を利用する。

    • ユニセフが、「夜の殆どの人々が幸せに暮らしています」って広告うっても、募金は集まらない。
  • 言葉選びがすごく優秀だった。原文もいいんだろうけど、翻訳した人のセンスが優秀なんだろうと思う。

  • 最後の参考文献、およびデータの分量が凄まじかったw データが大事と一貫して述べているだけある。

あとがき

今回は引用形式で本の感想を書いてみました。
いつものように読書中のメモを元にまとめなおして見たんですけど、やっぱそのままの形式でブログに書くと非常にわかりづらいですねw このブログの投稿に伴い、大幅に修正しました。 フリーフォーマットだと箇条書きのようなノートへのなぐり書きが一番自分にとって読みやすいものになるんですが、ブログとして読むには自分で読むにも読みにくいものになります。人に読んでもらうことを考えると更に不適切ですw まだ箇条書きの形が残っていて、文章になっていないのでちょっと読みづらい内容になってしまったかなと思っています。本当は物語調、文章体で書いたほうが一般には読みやすいんですが、僕が読み返して内容を思い出しやすいというところはクリアしたので、妥協して箇条書きの残った形式となりました。物語調にするのは大変なんですよ...!
そういうわけで、ここまで読んでくださった方には少しのお詫びを申し上げるとともに、最大限の感謝を述べたいと思います。
ありがとうございました!

*1:太字については原文ママでなく、私が強調したい部分を勝手に太字にしています