taro-h’s diary

たろログ

ブログです。近況報告とか振り返りとかとか

著作物の二次利用を黙認しているというグレーゾーンの状態は、著作権者にとって都合のいい状況なんじゃないかなという話

きっかけ

taro-h.hatenablog.com

こんな記事を書きました。

この記事を書くために調べものや考え事をしている過程で、以下のようなことを考えました。

事前に著作権者側が、「私はこういう場合において二次利用を許可します」と明言するようにしておけば、黙認というグレーの状態が避けられるので非常によいのでは?

ただそのシミュレーションを進めると、これは著作権者に不利益が生じるケースが発生するなと思い、「黙認」という白黒つけないグレーの状態は、著作権者にとっても都合がいいんだなと思った次第です。

グレーにしておくと何の都合がいいのか

グレーゾーンにしておくと、あとから「やっぱやめてほしい」と思ったときに、

  • いつでも差止め請求ができる
  • 損害が生じており、それを立証できる場合はいつでも損害賠償請求ができる

ということができます。

許可してしまうと何が困るのか

端的にいえば、トラブルの元になります。

許可してしまうと、以下のようなケースが考えられます。

  • 想定外のケース
    • 二次利用の許可を求められ快く快諾したが、アップロードされたものを見ると「そういう使い方はしてほしくない」と思う内容であった。やっぱやめてと言いづらい
    • 二次利用の許可を行ったが、次第に自作品に色々と損害が生じるようになった。削除してほしい。
  • 当時はよかったが、あとになって変わったケース
    • 二次利用の許可を求められ承諾、二次利用作品も特に問題なかったが、数年後になって「やっぱりこの二次創作を消してほしい」と思った。

で、「消してほしい」と言ったときに、「許可してくれたじゃないですか!」ということになる場合が想定されます。

ゲームの二次利用について

また、ゲーム実況等について、著作元に確認したら軒並み不許可の回答が返ってくると思います。

先日、日本ソフトウェアの人から以下のような一連のツイートがされていました。

あくまで日本一ソフトウェアの話で、ゲーム関連会社一般に言えることではないかもしれませんが、 「yesかno」と訊かれたら「no」としか言えませんッス となることが多いと思われます。

ただ、ガミガミ言いたくないのが本音。
個人勢の方は問い合わせ等せず、目の届かない範囲でこっそり楽しんでいただけると嬉しいッス。
実況が許せない方もいると思うッスけど、叱る時はちゃんと叱るので、個人攻撃はお控えくださいませッス。

こういった態度をとることで、

  • 無害な二次利用については何もアクションしない
  • 問題になった二次利用については、問題になった時点で差止め請求等を行うことができる

等の選択肢を日本一ソフトウェアは残すことができるんですね。

許可してしまうと、

  • 「許可してくれたじゃないですか!」などのトラブルが起こるかもしれない
  • 「なんであの人はいいのに自分はだめなんですか!」などのトラブルが起こるかもしれない

などが考えられます。

やむを得ず黙認しているケース

もちろん、メリットを享受するために積極的に黙認しているわけではないケースがあると思います。

  • 現実的に取り締まることが不可能である
  • 個別の差し止め請求等、対策を行うコストが馬鹿にならない

もともと「黙認」というとこちらが想像され、悪いイメージだけを持っていたのですが、積極的に黙認しているケースもあるのではないかと思った次第です。