著作物の二次利用を黙認しているというグレーゾーンの状態は、著作権者にとって都合のいい状況なんじゃないかなという話
きっかけ
こんな記事を書きました。
この記事を書くために調べものや考え事をしている過程で、以下のようなことを考えました。
事前に著作権者側が、「私はこういう場合において二次利用を許可します」と明言するようにしておけば、黙認というグレーの状態が避けられるので非常によいのでは?
ただそのシミュレーションを進めると、これは著作権者に不利益が生じるケースが発生するなと思い、「黙認」という白黒つけないグレーの状態は、著作権者にとっても都合がいいんだなと思った次第です。
グレーにしておくと何の都合がいいのか
グレーゾーンにしておくと、あとから「やっぱやめてほしい」と思ったときに、
- いつでも差止め請求ができる
- 損害が生じており、それを立証できる場合はいつでも損害賠償請求ができる
ということができます。
許可してしまうと何が困るのか
端的にいえば、トラブルの元になります。
許可してしまうと、以下のようなケースが考えられます。
- 想定外のケース
- 当時はよかったが、あとになって変わったケース
で、「消してほしい」と言ったときに、「許可してくれたじゃないですか!」ということになる場合が想定されます。
ゲームの二次利用について
また、ゲーム実況等について、著作元に確認したら軒並み不許可の回答が返ってくると思います。
先日、日本ソフトウェアの人から以下のような一連のツイートがされていました。
【日本一ソフトウェアのゲームを実況したい個人勢の方へ】
— プリニー店長 for ボク姫 (@shop_prinny) 2020年8月2日
個別にお問い合わせをいただいても、一部タイトルを除いて基本は承諾しかねますッス。
皆様の想いは尊重したくとも、現状は「yesかno」と訊かれたら「no」としか言えませんッス。
なので、二次創作の基本…裏でコソコソをお守り(続
いただきたいッス。
— プリニー店長 for ボク姫 (@shop_prinny) 2020年8月2日
とか言うと
「何で企業はOK?」「金もらったのか?」「媚びるな」等の邪推を生むので、補足いたしますッスね。
結論から言うと、
「企業勢は会社が責任をとってくれるから」ッス。
弊社が配信を承諾している相手は、担当間でやり取りがある見知った会社のみッス。
ですから(続
もし問題があればすぐに対応してもらえる信頼がある次第ッス。
— プリニー店長 for ボク姫 (@shop_prinny) 2020年8月2日
初めて相談を受けた会社様でも、相手の会社情報を獲れば実情は簡単に知れるッスしね。
対して個人の方は、心苦しいのですが、完全に一から関係を築かなればならず、有事の際の保証も不明瞭。
一人一人対応するのは非現実的ッス。(続
以上の理由で
— プリニー店長 for ボク姫 (@shop_prinny) 2020年8月2日
企業勢のみ一部に承諾を行っているッス。
ただ、ガミガミ言いたくないのが本音。
個人勢の方は問い合わせ等せず、目の届かない範囲でこっそり楽しんでいただけると嬉しいッス。
実況が許せない方もいると思うッスけど、叱る時はちゃんと叱るので、個人攻撃はお控えくださいませッス。
あくまで日本一ソフトウェアの話で、ゲーム関連会社一般に言えることではないかもしれませんが、
「yesかno」と訊かれたら「no」としか言えませんッス
となることが多いと思われます。
ただ、ガミガミ言いたくないのが本音。
個人勢の方は問い合わせ等せず、目の届かない範囲でこっそり楽しんでいただけると嬉しいッス。
実況が許せない方もいると思うッスけど、叱る時はちゃんと叱るので、個人攻撃はお控えくださいませッス。
こういった態度をとることで、
等の選択肢を日本一ソフトウェアは残すことができるんですね。
許可してしまうと、
- 「許可してくれたじゃないですか!」などのトラブルが起こるかもしれない
- 「なんであの人はいいのに自分はだめなんですか!」などのトラブルが起こるかもしれない
などが考えられます。
やむを得ず黙認しているケース
もちろん、メリットを享受するために積極的に黙認しているわけではないケースがあると思います。
- 現実的に取り締まることが不可能である
- 個別の差し止め請求等、対策を行うコストが馬鹿にならない
もともと「黙認」というとこちらが想像され、悪いイメージだけを持っていたのですが、積極的に黙認しているケースもあるのではないかと思った次第です。