taro-h’s diary

たろログ

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書評 隠れ増税 なぜあなたの手取りは増えないのか

日本が重税国家であるという認識はありませんでした。スペインやフィンランドなどの福祉国家に比べ、税は軽いのではと考えていました。
「はじめに」における、著者の「日本の国民総負担率は、日本の行政サービスの充実度や質を考えると、実質的に非常に高い」という意見については、やや強引に感じながらも、
税が十分に還元されていないことを日々感じている身としては、納得のいく意見でした。

第一章では、アベノミクスに言及しています。私はアベノミクスにそれほど悪い印象は持っていませんでしたが、同時に深い知識も持っていませんでした。
著者は「トリクルダウン」の効果を否定します。異次元緩和であふれたマネーはまず、日銀当座預金の「超過準備」枠にブタ積みされたと著者は主張します。
超過準備枠においては、年率0.1%の利子が付きます。銀行がその行動をとるのは自明ですね。

2016年の1月から、政府はマイナス金利政策を採用しました。一定額以上の超過準備預金に-0.1%のマイナス金利を課すものであり、この超過準備枠にブタ積みされた銀行の資金を、市場に流すのが狙いです。
しかし、マイナス金利を課された超過準備預金は、市場ではなく、国債市場にその多くが流れたと著者は主張しています(この主張に関しては話が難しく、未だ理解できていません)

この書籍で印象に残った主張は、財務省が消費増税を唱える理由として、消費税が安定しているという性格を持つからだ、というものでした。
この主張は納得できました。

その後は、所得税や資産税に関する著者の「高すぎる」との主張が続きます。
私は再分配すべきとの考えでしたが、徴税を強めるほど資産フライトや節税・脱税が行われることを考えると、たしかにこのまま高い累進課税を維持していくのは無理かもしれないと考えるようになりました。
著者は課税を弱めた方が、却ってそれらの行為は減少し、徴税総額は増えるのではという主張をしています。

本書を読んで、税金を払いたくなくなりました。
現在の日本の徴税は私の知っているよりも相当ゆがんでいるようです。また、富める者から取り、下の者に分配するという再分配は、最低限にしておかないとゆがみを生むと感じました。